2018年11月11日日曜日

佐野ラーメンを食べに行く

都道府県の魅力度ランキングで、関東の一都六県は上位3、下位4に二分されます。上位が東京、神奈川、少し落ちて千葉。下位は群馬、埼玉、栃木、茨城。下位の4県は、これは本当にダントツの下位で、群馬42位、埼玉43位、栃木44位、茨城47位。茨城に至っては、最下位6年連続と、むしろオイシイとさえ思えます。その栃木、母が華道の関係でよく宇都宮に出向くことがあり、我が家にとっては馴染みがあります。宇都宮は餃子。そして栃木の美味といえば、佐野のラーメンも忘れてはなりません。先日、雨のなか伺ったのは厄除け大師にほど近い絹屋さん。店内では地元のおばちゃんたちが楽しそうにお喋りしている人気店。佐野の特色、青竹打ちの平麺が、あっさり透明のスープによく絡んで、小さくなった私の胃でも完食です。大師様にお参りし、出流原弁天池という透明度の高い池にも行って、最後は佐野アウトレットモールでロイヤルコペンハーゲンの可愛いぐい吞みを衝動買い。充実の一日でした。
関東の三大厄除け

昔ながらのあっさり味

雨の弁天池 紅葉が始まっています

高台の弁財天からの風景

2018年11月5日月曜日

倉庫と、ほうとうと、渋滞と


一つの公演は劇場を去ったあともなお続きます。9月末の「小鳥売り」の最後の後始末。公演で使用した道具をガレリア座倉庫へ格納しに秋の甲斐路をドライブです。一週間前の予報では快晴。でも当日は曇天。拙宅で積み込みをしている最中は、ぱらぱらと雨が降ってまいりました。思ったほどの道具はなく、あっさり積み込んで出発。時刻が少し遅めで、運搬部長竹原氏の読み通り、日曜としては順調に倉庫に到着。ここでフルートの塚田氏の明晰な頭脳により、鮮やかに道具の格納が完了。入れる前は、ここにこの道具が収まるのか?と心配だったのですが、いやいやまだ入るねという余裕の状況になりました。時間に余裕ができて、お腹もすきます。山梨名物といえば、ほうとう!近所の小作という有名店に出向きました。古民家を利用した風情が好ましく、お昼時とあって順番待ちになりましたが、回転も早く、じき入店。胃の小さくなった私には多すぎる豚肉ほうとうに舌鼓。帰路は紅葉狩り帰りの観光客の渋滞に巻き込まれ、小仏付近19キロにやられながら帰宅しました。でも過去の経験から、どんなに渋滞でも下道よりは早いのですね。やれやれ。
倉庫近くのほうとう小作

剣術指南所の門構えが素敵

2018年11月2日金曜日

充実のティーレマン

11月1日、久しぶりにサントリーホールへ出かけました。ティーレマン指揮、シュターツカペレ・ドレスデンによるシューマンの交響曲全曲の第二夜です。3番「ライン」と4番のみ。コンチェルトもアンコールもなし。指揮者とオーケストラが自分たちだけを聞いてくれと正面勝負を挑んだようなプログラムです。こちらも身構えます。結果は明らか。今や欧州楽壇の核であるティーレマンの実力を見せつけられました。オーケストラの機能を極限まで引き出し、奇をてらわず、バランスよく、歌謡性に優れ、自由自在。とくに4番の第3楽章から第4楽章にかけては圧巻。3楽章のトリオ部分で、揺れるような旋律をどうして弦があそこまで一体で演奏できるのか、もはや謎としか言いようがありません。そして4楽章へのつなぎ目の緊張感といったら!いや、もう2曲でお腹いっぱい。真剣勝負を心ゆくまで楽しみました。
シューマン第二夜

2018年10月21日日曜日

老舗合唱団の貫禄

三友合唱団の本番の舞台監督を務めてきました。もう皆さん手慣れたもので、私の出番などほとんどないも同然。とても速やかに事故もなく終えることができました。会場の日本橋公会堂は水天宮さんのすぐそば。普段は日舞の公演や発表会が多いそうで、舞台裏は和物の貸し道具がたくさんあって楽しかったです。自分の勤め先以外の小屋を見られるのも勉強になります。歴史ある合唱団ですから、もちろん団員さんの高齢化が悩みなのですが、70歳オーバーの皆さんが一所懸命に舞台を作っておられる素晴らしさに感動しました。聞けば来年は、フォーレの「レクイエム」に挑戦されるとか。そこで合唱団の歴史に一旦ピリオドを打つそうです。最後まで、河の流れのように堂々と。私もしっかりお手伝いさせていただこうと思います。
ただいま本番中

指揮者の北村哲朗さん

打上げは新川の洋食の名店津々井、かなり嬉しい

2018年10月12日金曜日

三友合唱団の稽古場へ

昨年も舞台監督をさせていただいた三友合唱団の本番が近づき、打合せを兼ねて稽古場へ見学に出かけました。三友合唱団の創設はなんと昭和21年。三井グループで働いておられた方々のいわゆる職場合唱団としてスタートを切ったということです。現在、友人のバリトン歌手、北村哲朗先生が指揮、指導をされていて、そのご縁で舞台監督をさせていただいています。ですが、この合唱団と私の縁はもっと昔に遡ります。亡くなった私の父、八木原良太郎がまだ武蔵野音大声楽科に在学中、三友の定期演奏会にテノールのソリストとして出演させていただいていたのです。本当に奇跡的なご縁です。実際、私の父と同じステージに乗っていた団員さんもご健在で、親子二代、こんな形で関わらせていただけるなんて本当に幸せです。今年の演奏会は1020日、日本橋公会堂。シューベルトのミサ曲第2番をメインに、前プロが林光の「日本抒情歌曲集」と大中恩の「風のうた」です。ベテラン合唱団のフレッシュな歌声が楽しみです。
稽古場の神田教会

2018年10月9日火曜日

大野/都響 ワーグナーへの期待


仕事がらみの話になります。私の勤務先である新宿文化センターで1028日に大野和士さんの指揮、東京都交響楽団の演奏で、オール・ワーグナー・プログラムの公演を行います。大野さんとガレリア座はほんの少しお付き合いがあります。大野さんは以前、東京フィルでオペラ・コンチェルタンテという演奏会形式のオペラ・シリーズを企画されました。もう伝説といって良い、今となっては予算的にも到底できない、日本オーケストラ史に残る名企画でした。ガレリア座がちょうど「仮面舞踏会」を稽古していたころ、このシリーズでも「仮面舞踏会」が掛かり、東京フィルさんに無理なお願いをしてリハーサルを見させていただきました。終了後、お疲れの大野さんにご挨拶させていただこうと皆でステージ下に伺ったら、大野さん、舞台にどっかり座って、私たちの質問を受けてくださったのです。さらにその数日後、私たちの総稽古を見るため、さいたま芸術劇場まで埼京線に乗って駆けつけ、ついには数か所、自らタクトをとって指導してくださったのです!マエストロの棒と息遣いで、瞬時に音楽が変わっていくあの興奮は今でも忘れられません。大野さんは現在、東京都交響楽団の音楽監督であり、新国立劇場の芸術監督として日本の音楽界の中枢を担っているマエストロです。都響定期と新国立以外のホールで大野さんを聴く機会はありません。というわけで、この新宿公演も、都響さんに無理をお願いしました(私、だいたい無理を言うんですね…)。しかも、ワーグナー!演奏会後半はリトアニアの素晴らしい歌手を入れて「ワルキューレ」最終場面を演奏会形式で上演します。国内で大野さんがワーグナーのオペラを振るのはこれが初めて。この貴重な瞬間にぜひ立ちあっていただきたい。
https://www.regasu-shinjuku.or.jp/bunka-center/shusai/13989/
ワーグナー・スペシャル

2018年10月8日月曜日

芸術の秋、食欲の秋

公演が終わって少しほっとしています。ほかの舞台を見に行く余裕もできます。芸術の秋。私たちと同じアマチュアの熱い舞台は、プロとは違う楽しみがあります。地元、小金井の宮地楽器のなかにある小さなホールに出かけました。母の華道の先生が出演します。先生は、かつてガレリア座の公演にもご協力いただきました。マイヤベーア「悪魔のロベール」を上演した際、第3幕サン・クレーネの岩山で主人公ロベールが手折る聖ロザリエの魔法の樹が登場するのですが、おどろおどろしいこの樹を製作してくださった恩人です。映像で見返すと、この樹の存在感が際立ちます。さすがはプロの仕事。歌は人生と言いますが、先生の活けるお花のように滋味豊かな歌唱が印象的でした。自分の舞台でなくても、公演の後はなぜかお腹が空きます。小金井にもひっそりと良いお店があります。訪ねたのは駅北口から徒歩10分弱。蕎麦のおいしい創作料理の店、七彩さん。小さなくぐり戸から入る、雰囲気が素敵です。この日のコースは秋の旨味の冴えるお料理でした。風味豊かなごま豆腐に始まって全7品。鮪と鯛のカルパッチョサラダ、栗の竜田揚げ、冷やし蕎麦など美味しくいただきました。
おとなのはれ舞台 すばらしい!

エントランスからたのしい

スープ奥の栗の竜田揚げがお気に入り

締めの冷かけ蕎麦

2018年10月5日金曜日

アマチュアオペラ団体の成長

これは、打ち上げの締めで私が話したことです。今回、私は仕事の関係で仕込み日の会場乗り込みが夕方になりました。行ってみると、ほぼ舞台はできあがっていました。いつもは団内棟梁として活躍してくれる北さんも今回は参加できず、かなり不安だったのですが、舞台は見事に仕上がっていました。私が最後までこだわったシャンデリアの高さもきちんと調整されていて、何も言うことはありませんでした。そして終演後。客出しを終えて、片付けようと舞台に戻ったときには、これまた、だいたいの道具はなくなっていました。演者より早く着替えたオーケストラのメンバーが、せっせとリノリウムを巻いたり、ジョーゼット幕を畳んだりしてくれていました。終演時刻からわずか2時間と経たずに完全撤収。打ち上げの開始時刻を30分早めてもらったほどです。「早い撤収、良い団体」と、団員に刷り込んだ標語が、本当に活かされている。いろいろなアマチュア団体を見てきていますが、相当名前のある団体でも、撤収の際はなぜかだらだらしている。なかなか会館から出ていかない。さっさと打ち上げに行けばいいのに。何かに浸っているらしいのです。歌舞伎の旅公演ともなると、休憩前の舞台道具を積んだ搬出トラックはさっさと次の公演先に出かけていく。その手際の良さ、プロの矜持を、どうにか実践したという思いが私にはありました。ガレリア座はいつの間にかそういう団体に成長していたのです。率直にうれしい。
公演を支える力があってこそ

2018年10月4日木曜日

小鳥売り終えて


まずは無事に公演ができて良かった!強烈な台風24号の接近で、JR東日本が20時をめどに運転を中止するという情報が流れるなか、開演時刻前と終演あたりは雨もほとんどなく、お客様にもご迷惑をおかけすることなく公演を打つことができました。本当にありがとうございました。出来は…そう、かなり良かったと思います。自画自賛ですが。小さな傷はありました。でも、この表情豊かなオペレッタをきちんとした劇場の形でお見せすることができたのは私たちの誇りです。ご来場のお客様、私の演出の謎解き、できましたか?そうです。リヒャルト・シュトラウスの「ばらの騎士」が隠し味でした。クリステルとアーダム、若い二人の恋の後ろに、大公妃マリーの哀しさを表現してみました。ゾフィーとオクタヴィアン、そして元帥夫人マルシャリンの関係性に似せて。「小鳥売り」には大公が登場せず、「ばらの騎士」には元帥が登場しません。バラという花が《愛情》のアイテムになっているのも同じ。アーダムと大公妃の間に完全な恋愛関係は生じませんが、アーダムが大公妃に求婚するシーンはありますし、心動かされることはないとしても大公妃がアーダムの求婚によって自分の得られない愛を強く感じるのは事実です。今回の演出では、本来のナンバー組みを変えて、全曲のほぼ中間点に大公妃マリーのアリア“森の中を私は歩いた”を置き、そのあとのマリーの悲劇を浮き彫りにしました。また、1幕フィナーレ中で歌われるアンサンブル“もし、チロルでばらを”を、3幕フィナーレ前で再現し、アーダムの前をクリステルと大公妃がクロスして歩き、アーダムは最終的に恋人クリステルに歩み寄るという演出にしました。その場にいる登場人物は、一人たりとも大公妃へ視線を送らないよう注意を与え、大公妃の孤独感を強く表現したつもりです。本番前日の稽古で、このアンサンブル最後の大公妃の立ち位置を下手花道に変更し、その意味合いを明確にするなど、最後の最後までこだわってみました。あ、すみません。話が完全に「ばらの騎士」になっちゃいましたね。ガレリア座、来るべき日に備えての予行演習です(笑)。さて、まだ演目は何も決めていませんが、次回公演を楽しみにしてください。台風の季節は外そうと思います。
第2&3幕 照明作りこみ

第1幕 稽古風景

2018年9月29日土曜日

今日は晴れなのに

こんなに稽古してきたのに、よりによって台風ですって!大きな台風24号が近づいています。トップページでもお知らせしていますが、公演は予定通り行わせていただきます。プロと違って替えがきかないのです。すみません。おいでになるお客様。どうか余裕をもっておいでください。それで、お帰りは早めに!西武線は結構しぶといですから、終演時はまだ大丈夫だと思います。私たちの打上げ後が心配…ま、帰らなきゃいいのか(笑)。仕込み日の今日は晴れているのに、本当に災難です。
ロビーより練馬駅方向 晴れてる

2018年9月26日水曜日

ヴェネツィアの思い出

この夏、ザルツブルクにいる妹の家から列車でヴェネツィアに行きました。車で行くことも考えたのですが、バカンス時期なので道路の混雑を心配して列車に決めました。久しぶりの列車旅。車内販売に来た若いオーストリア人の女の子が、レシートのことを日本語で何て言うか訊いてきて、不思議な娘だと思ったら、日本語を勉強しているらしく、しばらく日本語での会話を楽しみました。以前、ブリュッセルの美術館のミュージアムショップでも超可愛い女の子のスタッフに、いきなり日本語で「●ユーロになります。」と言われて楽しかったことがあったけれど、日本語を勉強している若者、多いみたいです。ヴェネツィアは日本ほどではないけれど、ヨーロッパにしては手ごわい暑さでした。水の都とはいえ、日本のような湿気がなく、それだけでも楽なのかもしれません。胃が小さくなっても、食道楽の私。3泊4日のうち2回、夕食に通ってしまったのが、サン・バルトロメオ広場から路地を入ったところにある、Rosticceria Gislon。地元店です。リストランテでもオステリアでもなく、まさに惣菜屋さんで、少し食べられる場所もある、そんなお店。近所のおじさん、おばさんが夕食の惣菜をグラム単位で買いにきたり、地元のお兄さんお姉さんが酒のつまみを買いにきたりするお店。ふらりと入ったのですが、前菜盛り合わせの盛りの良さと、その旨さに脱帽。1回目で満腹となり食べられなかったモッツァレッラのフライ、これを食べずに日本に帰るわけにはいかない!と翌日も通った次第。そこの気のいい親爺さん(僕は勝手に見た目で“源さん”と命名)が、混雑していた翌日、私たち家族を見て、ちょっと脇の席を作ってくれました。源さん、大好き。大ファンになって、超片言のイタリア語で、また絶対来るからと約束してきました。
もう絶対に美味しいモッツァレッラのフライ

リアルト橋から よく見ると虹が二重に!わかるかな?

2018年9月25日火曜日

最終練習を終えて

いい感じです。月曜日に最終練習となるHP(ハウプトプローベ)を打ち上げました。稽古場がまるで風呂場のように残響の多いところだったので多少の危惧はあるのですが、とにかく精度の高い演奏ができたと自負しています。オケのプレイヤーもきちんと自己主張をし始めてくれましたし、音楽に血が通ってきたという実感があります。今回の「小鳥売り」には私なりの裏テーマがあります。チロルの小鳥売りアーダム君と、郵便配達の娘クリステルが喧嘩して、最後に仲直りというありがちなテーマの裏に、その間をとりもつ大公妃殿下マリーの哀しみを表現してみました。こういう演出はあまりお目にかからないと思います。なぜ彼女が哀しいのか。ある有名な、そして私の大好きなオペラへのオマージュが隠れています。ヒントはずばり“花”。さて、それが何の花なのか。ぜひ舞台を見て、謎解きにチャレンジしてください。オペラ好きの方ならきっとすぐにお分かりになると思います。当日、会場でお待ちしています!

2018年9月20日木曜日

珈琲タイム

2、3年前から珈琲にハマっています。前は圧倒的紅茶党だったのですが、久々に珈琲メーカーを購入しました。せっかくだから良い豆をと探していたところ、近所の府中にとても素敵な豆屋さんを見つけました。以前からその店の前を通ってはいたのですが、店名がとても不思議で、ここは何屋さん?と気になっていたお店です。深煎り(フレンチロースト)が殊のほか素晴らしく、我が家の安い機械でも十分に、珈琲の奥深い味わいを堪能できます。今はマンデリン。ストレートはもちろん、カフェオレも楽しいです。バッハを聴きながら…。コーヒー・カンタータ?いえ、マンデリンに合うのはフランス組曲。往年の名チェンバリスト、ユゲット・ドレフュスが私のお気に入りです。
お気に入りのグムンデンのカップで

2018年9月18日火曜日

小鳥売りおすすめCD


何人かの方から、今度の公演の予習をしたいのでおすすめのCDがあったら教えてください、と訊かれます。残念ながら対訳のついた国内版がないので、日本語で物語を理解していただけるCDとなると難しいのですが、海外版でとりあえず音楽がわかればということでしたら、ボスコフスキー指揮の全曲版をおすすめします。ボスコフスキーは元ウィーンフィルのコンサートマスター。シュトラウスの時代さながら、自らヴァイオリンを弾くスタイルで、正月の恒例ウィーンフィル・ニューイヤーコンサートを有名にした指揮者でもあります。オペレッタのCDも数多く残しています。とにかくこの「小鳥売り」、私が気に入っているのが、アーダムを歌うテノール、ダラポッツァの歌唱に尽きます。アーダムはオーストリア南西部チロル地方の小鳥売りという設定なのですが、ダラポッツァはまさにこのチロル出身。よく言えば《のどかな》、悪く言えば《間延びした》ようなチロル方言で歌う「おじいさんが二十歳だったころ(2幕フィナーレで歌われるアリアです)」の味わいは格別です。この夏にオーストリアに行ったとき、私の妹の旦那の妹さんに会いました。トラウン湖という風光明媚な湖のあるグムンデンという町で会ったのですが、彼女曰く、まだそのあたりには「小鳥売り」が実在しているというのです。しかも、彼女のおじいさんは副業的に「小鳥売り」をしていたとか!何と身内にリアル「小鳥売り」がいてびっくり!不思議なご縁の公演になりそうです(笑)。
ボスコフスキー指揮の名盤

トラウン湖畔にて

2018年9月17日月曜日

GPを前にⅡ

本番が迫ると、スタッフは皆、忙しくなります。私は山梨倉庫行きの翌日、今度は小道具借りに出かけました。映画やテレビのテロップで必ず出てくるあの有名な「高津装飾美術」さんです。高津にないものはない!オペラやオペレッタをやるので、洋風アンティークを借りるケースが多いのですが、過去に当座では、猫脚のバスタブとか、街灯とか、人力車(なぜか和風)とか、不思議なものもたくさんお借りしました。とにかく高津は楽しいです。人気ドラマやバラエティ、これから撮影の映画の名前の書かれた紙札が、あちこちの道具に貼ってあります。あ、これ、パートⅡがあるんだとか、あのドラマ、スペシャルやるんだとか、分かっちゃいます。あのバラエティのどこに、これ使ってあったっけ?なんて道具を見ながら思い出します。ガレリア座は、こうしてプロの力もお借りしつつ、楽しい舞台めざして頑張ります。
玉座にてご満悦

2018年9月16日日曜日

GPを前に


まもなくガレリア座第31回公演「小鳥売り」のGPがあります。GP=総練習のこと。本番会場ではありませんが、それに近い寸法の取れる大きなスペースで、衣装もつけて、本番さながらの稽古を行います。照明、音響、ヘアメイクなどのスタッフも見学する重要な練習です。それを前に、私たちスタッフは、前回の「こうもり」で使った大道具の収納と、次回「小鳥売り」の大道具の搬出のため、山梨の倉庫に向かいました。さすがの山梨。東京も少し涼しくなってきたこの日、もう秋の気配が漂います。長袖じゃないと肌寒い。でも道具の出し入れをすると、うっすら汗をかきます。帰り道、ちょっと寄り道して「道の駅」に立ち寄りました。こういうお買い物がとっても楽しい。山梨の甘い巨峰(しかも大粒!)、地卵、じゃがいも、そして栗!秋の食材を買い込んで帰りました。
秋の収穫

2018年6月23日土曜日

武蔵野うどん


ラーメンが国民食になる前から、日本には蕎麦、うどんという素晴らしい麺文化がありました。ブームというにはあまりに日常で、ブームと捉えるのも気恥ずかしいくらいにそれは普段の食卓でした。まだ私が幼稚園、小学生のころ、父方の祖父の実家、埼玉の毛呂に墓参りに行くたび、本家の叔母さんたちが食べきれないほどのうどんを出してきて、いっぱい食べろと勧めてくれたのを懐かしく思い出します。ごわごわ、もちもちしていて、不揃いで。あれが《武蔵野うどん》との出会いだったのです。

今、武蔵野うどんはご当地グルメの一つとして盛り上がってます。多摩、埼玉の地の粉を使用した、基本、盛りうどん。肉汁につけるのも名物です。何度か訪れている《みんなのうどんや》も名店の一つ。西武池袋線清瀬駅から1キロの住宅地にあります。地元の人が天婦羅だけ買いに来るような、地域密着のうどんやさんです。少食になってしまった私は、女性標準の4玉(男性は5玉)+ちくわ天(名物のかき揚げは正午で完売)をいただきました。つけ汁のお出汁を一口、これが旨い。素朴なうどんも勿論美味です。でも、うどん数本残してしまいました。たぶん現在の胃ではミニの3玉が正解だったかも。美味しいのでついつい欲張ってしまいます。大満足のお昼でした!
肉汁うどん4玉+ちくわ天

2018年6月13日水曜日

テオドール・デュボア


私の趣味のひとつがCDの収集です。もはや生涯に聴けないだろう量を買い込み、今なお増え続けています。とても愚かです。収集癖は昔から。記憶しているだけでも、シール、貝殻、ミニカー、切符、切手、鉄道模型…エトセトラ。切手と鉄道模型は押入れの奥に収蔵されていますが、それ以外はたぶん親が処分したのでしょう。どうなったか定かではありません。

そして最後に始まった収集が、クラシック音楽の音盤(最初はレコード)でした。父親が音楽教師だったため、家にあったクラシックのレコードを聴いたのがスタートでした。幼稚園の頃に、フルトヴェングラーの第九をかけて、スピーカーに向かって指揮していたのを記憶しています。

初めて自分のために買ってもらったのが、サン・サーンスの「動物の謝肉祭」。たしか、アーサー・フィードらーの演奏でした。自分で買った初めてのレコードは、マリーの「金婚式」とワルトトイフェルの「スケーターズ・ワルツ」。いずれもいわゆるドーナツ盤でした。最初に買ってもらったオペラ全曲盤は、ポンキエルリの「ラ・ジョコンダ」。マリア・カラスの主唱でLP3枚組。我ながら渋いファースト・チョイスです。
クラシック音楽なら、シンフォニー、室内楽、声楽問わず雑食の私は、未知の作曲家、作品にも興味があります。本日ご紹介するのは、フランスの作曲家、テオドール・デュボア(18371924)。パリ音楽院で、オペラ「ミニョン」を作曲したアンブロワーズ・トマに師事し、自らも後に同院長となってポール・デュカスやフローラン・シュミットを育てました。私の聴いたのは、Mirareレーベルから出ている、ピアノとチェロをメインにした協奏曲集です。いずれも規模の大きな作品ではありませんが、メロディックで熱量が高く、フランスらしい典雅さも備えています。ベルリオーズほどの革新性はありませんが、派手めなフランス管弦楽がお好きな方なら、ぜひ一聴を。マルク・コッペイのチェロは聴きものです。
隠れた名盤を探す愉しみ

2018年6月10日日曜日

horserace


私の趣味のひとつが競馬です。のめりこむほどはやりません。GⅠ級があると、ガレリア座の稽古途中でも無理矢理、休憩にしてラジオを聞く程度です。座の稽古が週末になるため、府中や中山に行くのは難しい。なので、先日、ウィークデイの大井競馬場ナイターを楽しみました。第1レースの発走は午後3時ころ。まだお日さまが高いうちに、立会川駅から競馬場に向かいます。近づくと馬のにおいが…たまりません。興奮した馬のように“入れ込む”感じで、気合はMAX!今どきの競馬場はギャンブルというより、さながらテーマパークのよう。とってもきれいで、ショップもフードも充実しています。でもやっぱり競馬ですから、当てなくちゃ!この日の私の戦績は12戦7勝。しかもそのうち6勝が3連単。よほど儲けたと思うでしょう。そこがギャンブルの難しさ。結果はほんの少しだけ都に税金を納めて終わりました。次こそ勝つぞ!!
馬も私も気合が入ります!

迫力のゴール板前!でもこの競争、外しました!

2018年6月8日金曜日

アンドレア・バッティストーニのショスタコーヴィチ


40代前半までかなりの数のコンサートに通いました。休みの日などは、マチネで東京芸術劇場、ソワレでサントリーホールとか、平気でした。一流の芸術家たちと同じ空間、時間を共有する贅沢を堪能しました。仕事やガレリア座の活動が忙しくなり、気力や体力も限りがきて、いつの間にかホール通いの習慣がなくなりました。実演に接する機会が、極端に減っていきました。いや、正直に言えば、すごい演奏家を十分に聴いたので、なかなかそれ以上の感動が得られなくなってしまったのです。
バーンスタイン/イスラエル・フィルのマーラー9番。クライバー/バイエルン国立歌劇場の「ばらの騎士」。アバド/ウィーン国立歌劇場の「ランスへの旅」。
カラヤン/ベルリン・フィル、ホロヴィッツ、チェルカスキー、パヴァロッティ、最盛期のグルベローヴァやノーマン、カール・デンヒ監督時代のウィーン・フォルクスオーパー、ゲルギエフが立ち上げたサンクトペテルブルク白夜祭。
まだまだ挙げればきりがありません。本当に楽しい日々でした。

でも、ここにきて、とてつもない音楽をする刺激的な芸術家が現れました。指揮者のアンドレア・バッティストーニです。まだ30歳というこのイタリアの若者、いったいどうやって音楽性を身につけたのか。私は彼に心酔しました。十数年ぶりに東京フィルの定期会員にも復活し、コンサート・ゴアーズに返り咲きを果たしました。もし、まだ彼を聞いたことがなければ、ぜひ一度、聞いてほしい。
私が注目したいのは彼の作り出す静寂です。
5月31日のサントリーホール定期は圧巻でした。曲目はショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲と交響曲第5番「革命」。両曲の第3楽章が、この夜の白眉でした。どこまでも静かで、冷たく、そして恐ろしい。極北の海、闇の中、生命が音もなく消えて呑み込まれていくような、底なしの怖さ。躍動的なスコアの凄さが強調されがちなマエストロの真の力量がここにあるのです。

今年、マエストロを聴く機会がたくさんあります。オペラも「メフィストーフェレ」「アイーダ」と、2本も体験できます。海外の有力エージェントが彼に興味を持っているので、日本国内で彼を聴く幸せがあと何度あるのか、私は心配です。
演奏会は一期一会。感動を味わえるのは、わずか二千人弱の聴衆だけ。私は通い詰めます。
マエストロ・バッティストーニ

2018年6月4日月曜日

こうもり終えて


今回の公演がたいへんなことはわかっていました。文化の異なる団体が、がっぷり四つに組んで作品を作ることの難しさ。刺激を受けるにせよ、苦労するにせよ、ぬるま湯のように舞台を作るよりは。そして、私たちの手法が間違っていなかったかを検証する意味でも。

ガレリア座は通常の公演で、舞台を三日、押さえます。仕込みとリハーサルと本番と。でも今回は、本番前日の夜、4時間だけの仕込み。そして本番日の朝からリハーサル。直しをする暇はなく、続けざまに本番に突入しました。この無謀なスケジュールに私たちは敢然と挑み、そして確かな成果を残しました。これは、ガレリア座が20年以上かけて培ったノウハウと人材と人脈による勝利です。この場を借りて、座員のみなさん、スタッフのみなさんに御礼です。私の酷い決断についてきてくれてありがとう。

今回ご一緒した日本ヨハン・シュトラウス協会管弦楽団の方々には、稽古中の私の言動が相当きつかったと思います。「あの人、怖い」って、聞こえてました。そう感じられたはずです。ガレリア座ではいつものことですけどね。座員に言わせれば、八木原、ずいぶん我慢したって。でも、最後、本番直前には、オケにも、プレイヤー名指しで怒鳴りました。私の大好きな音楽を、舞台を、妥協したまま、腹に収めたまま本番に臨むことはどうしてもできなかった。だから、今回は演出家としてのポジションには、あまり立てませんでした。正直、詰め切れなかった。お客様、ごめんなさい。水準に持っていくために、プロデューサーとしての立場に必死でした。

正直、きつかった。それでも異文化交流は楽しい。打上げで、シュトラウス管の人の素顔や、思いを知ることができました。アマチュア音楽家の先輩たちの後ろ姿を追いかけていきます。指揮者の鷲見先生の情熱にも頭が下がりました。まだまだ私も若僧。やることは沢山ありそうです。
さあ、次は「小鳥売り」。黄金期のオペレッタを続けて上演できる幸せに浸ります!
「こうもり」から「小鳥売り」へ

2018年5月7日月曜日

こうもり総稽古


今年のガレリア座は大忙しです。5月に「こうもり」、9月に「小鳥売り」と、黄金世代のオペレッタを2本立て続けに上演します。本当は「小鳥売り」だけのつもりで準備を進めていたのですが、日本ヨハン・シュトラウス協会管弦楽団さんから、40周年記念公演としてオペレッタ「こうもり」をピットに入って演奏したいというご要望をいただき、ではひと肌脱ぎましょうと相成った次第。ですので、今回ピットに入るのはガレリア座管弦楽団ではありません。いわば交流試合。どんな化学反応が起こるかとても楽しみです。公演は今月27日、江戸川総合文化センター大ホールです。総武線の新小岩駅からバスか、少し歩きますので、時間に余裕をもっておいでください。あ、そうそう。今回はシュトラウス管弦楽団さんの仕切りなので、なんと、入場料は無料!自由席ですので、きっと開場前から並ぶと思います。そういう意味でもお早めにお越しください(ちなみにチケットも発行していません)。さて、その公演の総稽古が黄金週間最終日の56日に行われました。いつものガレリア座だけの手慣れた総稽古とは異なり、会場は緊張感に包まれます。オーケストラにとってみれば、歌に、芝居に、踊りにと、一筋縄では済まないオペレッタの舞台。ポイントを絞った抜き稽古でも、なかなか呼吸の合わない箇所が潰れてくれません。それでも良い舞台をお客様に!という思いがいつしか全体を熱く包み、指揮者の鷲見先生の気合も皆に十分に伝わっていきました。もちろん多少のキズはありましたが何とか通し稽古も終了。本番に向けての準備は順調です。
ロザリンデ、アデーレ、アイゼンシュタインの三重唱
オルロフスキー公パーティーのシーン
シュトラウス協会19世紀舞踏研究会による華やかなワルツも!


2018年2月25日日曜日

弟子たち集う

クラリネット奏者、杉山伸先生のリサイタルが東京オペラシティでありました。先生は長らく在籍されていた東京フィルハーモニー交響楽団では首席クラリネット奏者として、シンフォニーにオペラに活躍されました。元バリトンという経歴ゆえに本当に歌心のある、そして歌手のことも理解してくださる素晴らしいアーティストです。私たちガレリア座では、いつの頃からか先生を勝手に団の顧問にまつり上げて、折に触れ面倒を見ていただいてきました。つまり私たちは自称弟子です。弟子が師匠のリサイタルに伺わないはずはありません。今回はブラームスが最晩年に書き上げたソナタ2曲。そりゃもう渋い。先生のクラリネットは本当に息遣いが聞こえるような、繊細な響きが特徴です。けっして、がなったりしない。ガレリア座、こうあるべしと身をもって指導してくださっているようです。先生のお人柄そのままのリサイタルを堪能して、最後は恒例の記念撮影。先生に「え~?またぁ?」と嫌がられながらも、弟子たちはこの瞬間が楽しいのです。これからもよろしくお願いしまーす!!
師匠を囲んで

2018年2月24日土曜日

うなぎ好き


私はうなぎが好きです。友人のバリトン歌手、北村哲朗氏と一緒に三島の桜家まで出かけて、富士山の雪解け水で育てた素晴らしい鰻を食して以来、殊のほか好物になりました。休みの平日にわざわざ出かけた先は中央線の豊田駅。多摩川を渡り、生涯めったに降りることのない郊外のこの駅から徒歩15分。住宅地のなかに突如現れたのが名店、藤田です。本店は浜松で、明治25年創業の老舗。平日の12時前に到着したのに、店はほぼ満席。唯一あった二人席に滑り込みます。うな重のランクは山と川の二種類。鰻の枚数の差です。胃の手術をして少食になった私は、枚数の少ないうな重(川)を、さらにご飯少なめで注文します。待つこと10分。身は柔らかめ、ほろほろと溶ける感じの鰻です。タレも含めて、特色はありませんが、安定の味わい、これぞ老舗の愉しみです。昨今の鰻相場にしてはリーズナブルなお値段で、私は大満足。帰りに、駅近くで素敵なパン屋さんを見つけ、目下、マイブームの塩パンとクリームパンを買い込みました。なかなか楽しかったです。豊田駅。
 住宅街に突如現れる名店藤田
 美味しそう うな重(川)ご飯少なめ
さあ、食べるぞ!